アニメ魔導具師ダリヤはうつむかない、報道から見えた日本のアニメの闇

2024年夏アニメ『魔導具師ダリヤはうつむかない』が予定通り7月に放送されるようだ。『魔導具師ダリヤはうつむかない』は甘岸久弥のラノベが原作。「小説家になろう」で連載されている所謂なろう系である。2023年8月にアニメ化が決定し、放送に向け粛々と進んでいくと思われた。しかし、2024年4月産経新聞が制作下請けに北朝鮮のスタジオが関与していたもようだと報じた。

北朝鮮のアニメスタジオが制裁違反の可能性 米分析、日米の制作会社下請けに関わったか – 産経ニュース

筆者は北朝鮮にアニメスタジオがあることは知らなかった。しかし、よく考えてみると国内向けのプロパガンダアニメを制作したり、伸びしろのある海外アニメ産業に参加できれば外貨を稼ぐことができるので需要はありそうだが。。

北朝鮮は2016年にアメリカに経済制裁され、ほとんど全ての商業活動が禁じられていた。その中で日本のアニメの下請けとして関わったため制裁違反となる。

これを受け製作委員会が調査した結果、北朝鮮の制作会社が本作に関わっていることが否定できないと判断し、該当部分をすべて国内スタッフにより作り直して放送することになった。

今回の件、アニメ業界の闇、多重下請け構造が垣間見えたと思う。これは発注元 → 元請け企業 → 2次受け → 3次受け・・・と、どんどん下請けに発注していく状態。今回の件では委託、下請けを繰り返し発注元は誰が作ったのか、どの会社が作ったのかを把握していなかった。そのため制裁違反の北朝鮮のアニメスタジオが関わっていた疑いがあるということだ。

この多重下請け構造、多数の仲介業者により中抜きされ、アニメーターの給与が少なくなる原因である。また、最終的に海外のアニメスタジオに仕事が流れてしまえば日本のアニメーターが育たず日本のアニメが空洞化してしまう。各アニメスタジオに向き不向きがあり、ある程度委託が発生するのはやむを得ない。しかし、7次請け8次請けなど過度の委託は日本のアニメ産業の首を絞めることになる。

昔は一部の人の楽しみの一つであったアニメ。今ではそんなアニメの主題歌をJ-POPアーティストが担当し、クールジャパンとして海外へ売り出すほど大衆化した。日本が世界に誇るコンテンツを使い捨てにせず、持続させていかなければならない。