中国産アニメの急成長、日本を追い抜く日も近い!?その背景と日本の課題

中国の日常系アニメのレベルが高いとネットで話題だ。筆者も見てみたが確かにレベルが高い。筆者はキャラクターの顔が少し気になったが全体的に作画やアニメーションに違和感を覚えることは少ない。舞台が中国であり中国の日常がどんな感じなのか、日本語吹き替えがあればもっと見たいところだ。

どうして中国アニメのレベルが高いのか

そこでふと思った。どうして中国アニメのレベルが高いのか。調べてみると。。

  1. 日本のアニメ制作会社が下請けとして中国の会社に発注している
  2. 中国政府が支援している
  3. 経済成長によりアニメ市場も拡大している

主に3つある。

日本のアニメ制作会社が下請けとして中国の会社に発注している

これは中国アニメレベルアップの主要因だと思われる。あるアニメ監督も言っていたが日本のアニメは多すぎる。それは業界のバランスを壊し育成が追い付かなるほどに。日本で処理できない仕事が単価が安い中国企業に発注されノウハウが蓄積されている。

中国政府が支援している

筆者は知らなかったが中国政府は自国企業を支援して中国国産アニメを後押ししている。また中国政府は過去に国産アニメ育成のため海外作品のテレビ放映を制限し、その後も国産の割合がアニメ放送の7割を下回らないよう規定している。自国のアニメを守るために海外作品を制限する。中国はこういうところがしっかりしている。自由主義陣営がなかなかできないことだ。

中国、国産アニメ急成長 国が支援 2.6兆円市場に 「多額投資、成功例は一部」|【西日本新聞me】

経済成長によりアニメ市場も拡大している

3つ目は単純で中国は人口が多いことだ。人口が多い中国が経済成長し、アニメ市場が拡大する。14億人(中国)と1億2000万人(日本)人口が桁違いならアニメ市場も桁違いである。

中国コンテンツ市場調査 2022年版(2023年3月) | 調査レポート – 国・地域別に見る – ジェトロ

中国アニメが日本アニメに追いつき追い越す可能性

中国アニメが日本アニメに追いつき追い越す可能性は高まっている。日本のアニメの下請けで技術力を得てそこに中国政府の資金力が加わる。さらに14億人のアニメ市場は拡大し人材(人口)も豊富である。この状況、筆者は日本の家電製品を思い出した。

日本は昔家電製品を輸出して外貨を稼いでいた。その家電も中国の安価な労働力に惹かれ、中国で生産するようになりノウハウが蓄積され、今や中国家電メーカーが台頭してきている。(中国企業が生産した家電に日本のブランドを貸しているものもある)日本のアニメも今、世界で売れているが油断してはいけない。

日本のアニメはどうすれば生き残れるか

では日本のアニメはどうすれば生き残れるか。これには3つあると思う。

  1. 時代の変化に対応し、進化し続ける
  2. アニメーターなどの労働環境の改善
  3. 日本アニメならではの強みを活かす

時代の変化に対応し、進化し続ける

CG技術や3DCG技術など、新たな技術の導入を積極的に行い、表現の幅を広げる。そして昨今話題のAIである。AIというと抵抗を持たれる方もいるが人の仕事を奪う敵だと決めつけず、受け入れアニメ制作に生かしていかなければいけない。すでにあるアニメ制作会社は生成AIを導入し、作業効率を上げることに成功している。

生成AIアニメで時短 撮影した動画をまるごと変換 社員6人、人手不足解消のカギ- 名古屋テレビ【メ~テレ】

アニメーターなどの労働環境の改善

アニメ業界の過酷な労働環境を改善し、より多くの人材が業界に集まるように環境を整える。筆者は2つ目にアニメーターなど人材育成を挙げたかったがそれ以前にこの問題を改善しなければならない。これは過去にも記事で触れた。

また、最近では日本が中国の下請けになっている場合もあり、既に日本のアニメは崩れてきているのかもしれない。

「日本人なら中国人の3分の1で済む」アニメ制作で進む”日中逆転”の深刻さ 日本が中国の下請けになっている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

日本アニメならではの強みを活かす

手描きアニメーションならではの温かみと繊細さを追求すること。日本人の細かい所まで手を抜かない、見えない所まで手を抜かない点、これも日本の強みである。合理主義を追求し無駄を省き、効率を上げるのは良いことだ。しかし、これをやりすぎると日本人がつくるアニメの良さまでつぶしてしまう。一見、合理的ではないように見える細かい描写も日本のアニメ良さである。

日本のアニメは細部の描写が素晴らしい!=中国ネット「日本人の真面目さは中国人がよく学ぶべき点」「日本の匠の精神には何も言えない」

まとめ

日本のアニメは需要が膨れ上がり、その需要に答えるためにアニメ業界がバランスを崩しながら供給してきた。それが消費者に見える形で現れたのが作画崩壊だったりする。筆者はアニメーターなどの労働環境が改善され、日本のアニメ業界が正常なバランスを取り戻すことを願っている。正常なバランスなくして中国のアニメと張合うことはできない。